短編

   教えて!博士!

   

 僕の名前は、村井 守。中学一年生!一週間前に入学したての可愛い男の子だ。小学校じゃうまく友達が作れなかったけど、ここでは楽しく過ごせるように友達沢山作って学校ライフを満喫するぞ。

 僕の隣の席には、気になるあの子、美香ちゃんがいる‥。

「はあ‥たまらないな‥。」

 守は、ため息をついて頬杖をつく。

「何ため息をついてるんだ?まもる君。」

「! なんだ岳くんか。」

「なんだとは、なんだ。心配してやったのにさっ。」

 声をかけてきたのは、幼なじみの京 岳だ。今でいうキラキラネームではないが、きょう だけるという、可哀想な名前である。

「お前(作者)がつけたんだろうが!」

「誰に言ってるんだ‥。」

「守君、ため息をつくと幸せが逃げていくからやめときな。」

「どうして?」

「それはだな‥。」

  キーンゴーンカーンゴーン♪

「あ!帰りのチャイムだ!また明日な、家帰って空手の稽古なんだ。すまんな。」

「えっ!気になるところで帰るなよ!」

 岳は、走ってその場を去って行った。守も仕方がないので、家に向かって歩いて行った。「ちぇっ!中途半端なとこで帰りやがって‥あーあ、気になるなぁ。」守は腕を組んで下を向き歩いていたら、何かに当たった。

  ドンッ!

「痛っ!な、なんだよぉ。」

「なんだとは失礼な坊やだ。全くそっちがぶつかってきたんだから謝りたまえ。」

 守の目の前に現れたのは、白髪でもじゃもじゃ頭で白衣を着たおっさんだった。

「あ‥あ‥す、すいません。ボーッとしていまして‥。」守はぺこりと頭を下げた。

「まあ許してあげよう。君は何か悩んでいたね。下を向いてるのが見えたが?」

「えっ!あ、あぁそうなんだ。」汗を垂らし守は答えた。

「フッフッフ、おじさんが悩みを解いてあげよう。何を隠そう私は悩み解決おじさんだ。そうだな‥まあ博士と呼びたまえ。」博士は腕を組み怪しげに笑っている。

(なんだ、このおっさん‥。逆らうと怖いからやめておこう。)守は、愛想笑いをして博士に聞いた。

「どうしてため息が出るのか悩んでいたんです。」

「若いのに苦労しているんだね。お答えしよう!」

 説明しよう!ため息がでるのは、心配事や悩みを抱えているとき。そんなときに体は、胸やお腹の筋肉が硬くなり呼吸が浅くなっている。血液中の酸素が薄くなって不足気味になる。補うために体は交感神経を働かせて血管を収縮させる。

「簡単に言うと、体の緊張状態を治すためにため息が出て和らげるんだよ。」

「へぇー、じゃあ幸せが逃げるってのは?」

「迷信だよ。まあ仮にも友達がため息してるとこっちまで不安にさせられるよね。何かあったのかとか。」

「そうだったんだ。ありがとう。博士。」

 守は博士にお辞儀をした。

「かまわんよ。他にはないかい?」

「んーと、好きな子がいるんだけど、胸がドキドキするんだ。これは何?」

 博士は、険しい表情になり空を見つめて言った。

 

「それは、後々わかることだ。ではこれで失礼する。」

 

「えっ!?なんで!?」

 博士は一粒の涙を流し去って行った。

 

 

    終わり   モグ海苔